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CROSSTALK / デザイナー板坂 諭さん

CROSSTALK / デザイナー板坂 諭さん

板坂 諭 (Satoshi Itasaka)
大学卒業後、設計事務所勤務を経て、2012年、建築事務所「ザ・デザインラボ」を設立。
建築をベースにプロダクト、そしてアートの領域で注目されている。
2016年には、ミラノのデザインウィークに参加。ミュージアム等にコレクション化された作品もある。
作品集に『New Made in Japan 』(青舎社)がある。
現在エルメス社とデザイン契約を結び、世界的に活躍する。


MOEGIのストーリー第一回に、世界的に活躍されているデザイナーでMOEGIのプロダクトデザイン、ブランドデザインをしていただいた板坂 諭さんとMOEGI代表の成瀬のクロストークをお届けします。


成瀬:今日は宜しくお願いします。

板坂さん:宜しくお願いします。

成瀬:以前、板坂さんが同じオフィスビルにいた時、海外から板坂さんを目的に研修生の若い子たちが毎年こられているのを見て、海外から教わりたいといってくるということは偉大なデザイナーなんだなっていう気がしていた、そういう出会いだったんですよね。
私自身、その頃は輸入化粧品の販売で、もちろんデザインは決まったものだったので、いつか自分のブランドを作った時に何か携わっていただけたら嬉しいなとその頃から沸々と思っていました。
その後、MOEGIを立ち上げた時には真っ先に板坂さんにぜひお願いしたというのが流れでしたよね。

板坂さん:ありがとうございます。ご説明いただいて。

成瀬:板坂さんはデザインをずっと長くされてきていて、元々は建築デザインとかプロダクツデザインの両方をやられているんですよね?

板坂さん:はい、そうですね。
日本のデザインに関する考え方がどうしてもそういうジャンル毎に仕分けをして、考えるのが一般的になるんですけど、元々はデザインの教育って「バウハウス」ドイツのデザイン学校が始めたのが歴史なんですが、バウハウスっていうデザイン学校で言われているのが、建築っていうのがいわゆる総合芸術の頂点にあって、デザインとか設計っていうのが全てそこに含まれる、集約されるっていうのが本来のデザインの教育の根幹にあるんですよ。
例えばバウハウスでいうと、デザインとかものづくりのこと全般にある程度知識がないといけませんよというのが本来の姿なので、「私はグラフィックしています」「私は建築しています」っていうのは建築をしている人間からするとあまりしっくりこないんですよ。

成瀬:なるほど。おもしろいですね。

板坂さん:建築をしていると、バウハウスの初代の学長もグロピウスという建築家ですが、グロピウスが言っているバウハウス勲章を読んでも「建築に全部が集約される」と書いてあるんですが、例えとして「レストランを設計します」となると、レストランのメニューのグラフィックはどういうデザインが全体の空間と調和がとれるかなど、お客さんから質問されるわけです。
「それはグラフィックデザイナーの仕事だから私にはわかりません」と言ったら仕事が終わってしまうので、「ここの書体のこういうのがいい」「紙はこの紙がいいし、印刷の方法はこうしましょうか?」など提案をしていき、お客さんに求められている所まで作っていく。
「建築をやってたからグラフィックは苦手です」ではなくて、全てに興味持ってやってた結果、MOEGIのご相談をいただくような事も増えて、今では何屋さんか分からなくなっているというところが本音です。

成瀬:すごくその辺の話しは奥が深いですね。
MOEGIでもまずこういう形で酵素ドリンクを販売するというコンセプトの話しをさせていただきました。萌木っていう言葉が日本の古来からある言葉から、息吹くとか芽吹く、チャレンジなどの意味合いを連想していましたね。カラーリングも、最終的には萌木という伝統色があり、今回板坂さんが描いていただいたデザイン、ロゴのあの色になりました。あの時オフィスにお邪魔して、世界に販売していきたいという意図も含めてディスカッションをしたのをよく覚えています。
今回のお話でお伺いしたいのが、いちご・ブルーベリーのMOEGIをデザインする時のインスピレーションやコンセプトを教えてください。

板坂さん:成瀬さんからこれからやりたいこと、含まれる成分の話しなど、MOEGIに関する情報を色々インプットさせていただきましたが、最後に日本の良さを海外にしらしめたいなという想いの強さを感じました。
そこで改めて、日本らしさというのをいかに海外の人に分かりやすく伝えるかが、デザイン的に求められているなと思いました。私は、日本の良さはもしかしたら西洋のデザインの結構反対側にいっているようなことがあるような気がしています。
シンメトリー、均等、左右対称で分かりやすいデザインが、西洋では基本的にはよく受け入れられているわけですが、日本っていうのはあんまり形式的にものを作らず、わざと崩すのが日本的だったりします。そういったところは積極的に取り入れたいと思いました。
カチッと強く、力強いデザインが海外では受け入れられやすいですが、日本らしく、どちらかといえば儚いぐらいの雰囲気が日本的だなと。それが西洋の人から見ると新鮮で新しいだろうし、興味持ってもらえるんじゃないかと考えました。
海外の人に「ん?」と気になって振り返ってもらえるのではから、全体のデザインをまとめたというのがスタートラインです。

成瀬:板坂さん覚えているか分からないんですけど、MOEGIっていうロゴについて私がある展示会に出たときある方に言われたのが、MOEGIのロゴがちょっと主張がなさすぎるっていうような感じを言われて、もっと目立つように、ロゴを強くした方がいいんじゃないかって言われたのが心に引っ掛かって、板坂さんにその当時質問したことがあったんですね。

その時に、板坂さんがおっしゃったのは「いや、それは正解だった」と。

なぜ正解かというと、そもそもそのロゴに対して異議を言ってきたという事は、注目されている証拠ですよと。その一言で「まさにそういうことか」と思いました。その後にも板坂さんがおっしゃったのは「これからの時代背景を考えると、その主張が良しとされる世の中から、和を重んずるというか主張よりも逆にロゴがないくらい、主張がないようなものが受け入れられる」っていうことをおっしゃっていただいて、またそこで自信を持つことができました。
色々世界見られている板坂さんだからこその見解だと思いました。

板坂さん:サインやロゴなどは、頑張ればいくらでも主張ができるんですが、ニューヨークのタイムズスクエアや銀座の中央通りなど、ネオンで色んなロゴが煌めいて、すごい広告が主張していますよね。みんなプラスの方に力を出しているわけですけど、結果あそこを通ってどれか記憶に残ったかと聞くと実は何も記憶に残っていないんですよ。何一つあそこでロゴは記憶に残らない。

僕が結構好きな逸話で、千利休の豊臣秀吉を招いた時の朝顔の話しがあって、千利休がいた大徳寺に朝顔をワッと咲かせたことが京都中の話題になり、豊臣秀吉はわざわざその朝顔を見に行くために時間を作って行ったんですよ。そうしたら朝顔が一個もなかったんですよ。千利休は全部摘んでしまったんです。

成瀬:全部を摘んだんですか?

板坂さん:はい。豊臣秀吉が来ると言われたからだそうです。その後、豊臣秀吉は怒って千利休のお茶室に行きましたが、そこで千利休は静かにお茶をたてていて、その千利休の横にあった床の間にその摘み取った朝顔の中で一番綺麗な一輪だけをそこに飾っていたんです。それを見た豊臣秀吉はご満悦になって、喜んで帰っていったというのがお話しとしてあります。

これは沢山の朝顔を見ても実は結果一つ一つの朝顔のことは見れてないということ。だからこそ、いかにひいて、間引いて間引いて最高の形だけを残すのかが日本的、千利休的なやり方。西洋のやり方ではなかなか敵わないと思うんです。

MOEGIはちょっとひいた方がいいんじゃないかなと思ってですね、そのお話しを成瀬さんにしたんだと思います。

成瀬:そういうことなんですね。
今おっしゃった日本人的なデザインに関して、実は少なからずともロシアの展示会やタイの展示会であのデザインを本当によく外国の人たちは目にとめる人が多いんですね。近くに来て素晴らしいデザインだと。もちろん海外に限らず日本の展示会でもそうなんですけど。やはりデザインが持つ力は人を引き付けるし、商品が説明しやすい環境を作ってもらえますよね。デザイン一つで。

少し話は戻りますが、酵素ドリンクは世の中に本当に沢山あって、どれもこれもみんな主張がすごくて、こんな野菜使ってる、あんな果物使ってる、デザインが多い気がします。
MOEGIはその中で凛とした今の朝顔じゃないんですけど、すごく、そういうかえって控えめなんだけど、すごくそれが記憶に残るっていうデザインになっているなと思います。人の記憶に残るデザイン。

板坂さん:そのやり方も西洋的な残り方よりもさっきの日本的な残り方が今回のMOEGIに対してはいいのではないか、というのがデザインの根拠というか想いですね。

成瀬:イチゴとブルーベリーと二種類、メインとなる原料があるですが、それが上手にモチーフされていて、色も含めてすごくいいですよね。あの辺が。

板坂さん:ありがとうございます。成瀬さんが色々とそういうお題をくださるものですから、それに対して色々考えやすい環境をいただきました。

成瀬:いえいえこちらこそ。デザインや空間って、ある種作る人の主張というか想いがあまりにも強すぎると、それに合う人はもしかしたらいいのかもしれないですけど、やっぱり引き立てるという意味では、一歩ひいたデザイン、でも実はそれが人の記憶に残るですね。

板坂さん:確か、ちょうど隈研吾さんの「負ける建築」という本を出した頃、建築っていうのは本来、強くて、かたくて、大きくてというイメージですが、隈さんが書いた本の「負ける建築」というのは、弱い建築こそが残るということが書いてありました。
また、ある生物学者の方が、弱い方が生き残る的な内容の本をちょうど出した頃だったような気がします。その話しを一番はじめにさせていただいたと思います。
そういう時代的な考えを当時とても僕は感じていて、がつがつ系よりも今回ご提案させていただいたものがこれからの雰囲気に合うんじゃないかな、っていう話しをさせていただいたと思います。

成瀬:デザインの本当にトップの人たちは、無条件に次に起こるであろう世の中の動きをなんとなく肌で感じながらやられているのかな。今後、和を重んじるような、日本が架け橋になれるようなそんなような時代背景になってくるのかなっていうのがなんとなく感じます。

板坂さん:そうですね。そうあるといいな、と思いますね。


- 実際にMOEGIを飲んでみた感想はいかがでしたか?

板坂さん:僕は全然問題なく味わせていただきました。人によっては少し癖があるもんですからね、どちらかというと薬的な意識で飲まれる方もいるのかなと思いますが、私は身体のことを思いつつもおいしくいただいたと思いました。

周りで抵抗感を感じていると思うことも聞きましたけど、日本人って長寿ですし、健康、今も欧米に比べるとコロナの影響が少ないわけですから、何が効いているか分かりませんが、日本的な食文化は酵素と共に生きてきたっていうようなところが効いていると言えなくもないので、MOEGIがもっと世界に広がってくれたらいいなと思いますね。

成瀬:ありがとうございます。
最後に伺いたいんですが、MOEGIを通して人々の美と健康に良い本物の提案をしていこうと思っています。そこで、板坂さんからみて女性活躍の時代だと言われている今、「美と健康」というテーマで何か一言いただけると非常に嬉しいなと。

板坂さん:健康は常に気を使っているんですが、女性の美とかってのはあまり詳しくないので浮かばないんですが、女性の時代ではありますけど、なんていうんですかね。差がなくなってきている時代だと思うので、美に対する需要みたいなのは倍になるわけですよね。
例えば、化粧品関係のデザインなんかもさせていただいてますけど、もう男性も女性も共に使えるようなものを求められるわけです。そうすると需要が倍になります。今まで女性だけターゲットにしてきたビジネスが人類みなターゲットになるので、男性も女性もあえて分けないという今の思想がすごい大きなビジネスチャンスだと思います。美に関しては可能性が満ち溢れていて、東南アジアとか今まで化粧すらしたことない人たちがこれからみんな化粧するわけですから。

成瀬:いずれにしても、化粧品にしても健康的な食事、サプリメントも含めて、必ず何かの入れ物に入っているので、何かの入れ物には必ずデザインがありますから、そこはこの業界に長くいる中でデザインのもつ力って本当に多大だなと今回も改めて感じました。
板坂さんみたいな感性の方がデザインしてくれるものと、本当にそうじゃないというものとは、やっぱりすごく差が出てくるのかな、っていうのが僕の最後の印象でしょうか。

板坂さん:そう喜んでいただけるものを生み出せるようにがんばります。

成瀬:今日はお疲れのところ、お忙しいところありがとうございました。