夏が終わり、秋になる季節の変わり目は、体にもさまざまな影響が現れます。私の専門である東洋美容の世界では、春夏の“陽”の状態から、秋冬の“陰”の状態に移っていくので、この夏から秋の変わり目の時期は、人間の体にとっては、大きな変化が起きる時期だと考えられています。
このさまざまな影響の中でとくにこの時期に見つめ直してもらいたいのが、睡眠事情。
寒さが厳しさを増す秋冬を健康に越すためには多くの体力(エネルギー)が必要になります。そこで私たちの体は、寝ている間に疲れた細胞を修復するので、体力をつけるために、睡眠が大事になってくるのです。
しかし、毎日当たり前にとる睡眠ですが、「なかなか寝られない」、「眠りが浅い」など、睡眠に対して悩む方も多いでしょう。
今回は、睡眠の質を高めるためにできる腸活のお話しです。
良質な睡眠で大切になってくるのが、神経伝達物質と言われる「メラトニン」です。メラトニンは簡単にいうと、体を眠りに誘ってくれるホルモンのことで、私たちが夜になり自然と眠りたくなるのは、このメラトニンのおかげです。
つまり良質な睡眠にはメラトニンがきちんと分泌され、体に作用される必要があるのです。
そこで、ポイントになってくるのが「腸活」。
神経伝達物質と聞くと、脳内で作られているもので、一見すると脳と離れている腸には関係なさそうですが、実は脳と腸には“腸脳相関”という関係性があります。
メラトニンは腸の指示によって、脳で作られているのです。つまり腸の状態が悪ければ、この指示がうまく発されずメラトニンが作られにくくなり、睡眠の質が悪くなるのです。
そのため、睡眠の質を高めるためには腸活もまた大切になわけです。
寒さが増す秋冬を健康に過ごすためには、体力(エネルギー)が必要とお伝えしました。日々の活動を行うために必要な体力は寝ている間に、体内酵素によって内臓が働き、飲食物から体力の原料となる栄養素を消化吸収することができます。
この時に活躍する体内酵素ですが、酵素ドリンクやサプリメントでの摂取にあわせ、良質な睡眠でも回復させることができるのです。睡眠はただ疲れをとるためだけのものと考えるのではなく、より良い体のコンディション作りのために大切だと捉え、睡眠に悩む方は、この機会にまずご自身の腸内環境を見つめ直してみましょう。
最後に睡眠の質を高めるために腸活によるメラトニン生成に加え、睡眠の質を悪くするNG行動をご紹介したいと思います。
・就寝前の飲食
上記でもお伝えしているように、私たちの体は寝ている間に疲れた細胞の修復をしたり、体力を回復したりしています。就寝前に飲食をしてしまうと、体内酵素は飲食物の消化吸収に使われてしまうので、飲食は就寝の3時間前にはやめるようにしましょう。
・就寝前のスマホやタブレット
ついついやりがちなのが就寝前のスマホやタブレット。スマホやタブレットから発されるブルーライトは交感神経を活性化し、眠りホルモンであるメラトニンの働きを防ぎます。どうしても眠れない時は読書灯をつけ、読書をしてみてはいかがでしょう?
・就寝前の熱い湯船
体を温めようとして、熱い湯船に入るのはいい子ですが、就寝前では交感神経が優位になってしまいます。就寝前は38~40度の適度な温度で入るといいでしょう。また体温が下がる時に眠りに入りやすくなるので、入浴後は体温が下がり始める前にベッドに入るといいですよ。
乾燥や寒さが増していく秋冬は、動物界では冬眠をする動物もいるほど、体にとっては負担の多い季節。ぜひ本格化する前に睡眠の質を高めていきましょう。その第一歩として、睡眠の質に関係する腸内環境を見つめ直し、腸活に取り組んでいきましょう!
美容家 濱田文恵
「延美長寿」をテーマに毎日のセルフ美容に西洋と東洋を組み合わせた独自の美養法を提唱。
今ある綺麗からこれから先まで続く綺麗を。予防を根底に美容寿命を伸ばすための記事執筆・監修、セミナー講演や勉強会等を主宰し、女性誌やメディアでも幅広く活躍中。(一社)日本セルフ美容協会代表理事、医薬品登録販売者、毛髪診断士、国際中医薬膳師