発酵食品は体にいいから取り入れたいけれど、「どれくらい食べればいいの?」「効果的な食材の組み合わせはある?」など、いろいろな疑問をお持ちではないでしょうか。
そこで今回は、発酵食品の食べ方のコツと、効果的な食べ合わせについて、管理栄養士で、手作りの発酵食品を毎日食べている筆者がご紹介します。
発酵食品には、免疫力に影響する腸の状態を良くして、免疫機能の維持を助ける効果(免疫力サポート)があり、体調管理に役立ちます。
また、からだの内側からの健康や美しさを目指す「腸活」や「美活」のために、発酵のチカラを利用する方も増えています。
発酵食品を上手に取り入れて、今の時期に気になる感染症予防や花粉症対策もはじめていきましょう。
発酵食品は栄養豊富で、お好きなものをおいしく食べるだけでも、体にいい影響があります。でも、せっかく食べるなら、さらに効果を高めてくれる食べ方を意識してみましょう。
すぐにはじめられる発酵食品の食べ方のコツを5つご紹介します。
発酵食品は、少量ずつでも良いので、毎日食べ続けることが大事です。
ヨーグルトやぬか漬けに含まれる乳酸菌などの微生物は、たくさん食べても、腸内に貯めておけず、役目が終われば、すぐに体の外へ排出されてしまいます。
そのため、腸内環境の改善には、発酵食品を1日に1回以上食べる習慣をつけましょう。
ただし、嫌いなものを義務感で食べるのはストレスになるので、好きなものから、少しずつ続けて下さい。
発酵食品がいくら体に良いからといって、食べすぎは逆効果になるので、食べる量に気をつけましょう。
みそやしょうゆは、塩分のとりすぎで高血圧やむくみの原因になります。
甘酒を飲みすぎると、エネルギーと糖分が多く、高血糖や肥満の原因に。
ヨーグルトをたくさん食べると、お腹がゆるくなり、下痢をしてしまうかもしれません。
酢のとりすぎは、胃が荒れやすくなり、食欲低下につながります。
発酵食品は適量を心がけて、ヨーグルトなら1日200g程度、酢は大さじ1杯程度を目安に。人によって体に合わないものもありますので、体調に合わせて、量を加減して下さい。
発酵食品は、朝、昼、夜のうち、いつ食べてもいいですが、効果的な時間があります。
たとえば、ヨーグルトは、夕食後に食べると、寝ている間に、腸内環境を整えて、朝のスムーズなお通じにつながります。寝る直前は避けて、就寝の2時間前までに食べ終えるようにしましょう。
甘酒は、朝に飲むのがおすすめです。甘酒のブドウ糖は、脳のエネルギー源になるので、頭がすっきりと目覚めて、午前中を活動的に過ごせるようになります。
食欲がないときでも、胃腸に負担が少なく、いろいろな栄養素を手軽にとることができます。
寒い時期は、ホット甘酒にすると、体の中から温まって、心もほっこり癒されます。
発酵食品を食べる習慣がついてきたら、手作りにチャレンジすると、より楽しく続けられます。
自宅で作りやすいのは、ヨーグルトやぬか漬けです。
ヨーグルトは、牛乳と市販のヨーグルトを混ぜて、ヨーグルトメーカーや炊飯器で温めれば、発酵ができます。豆乳やアーモンドミルクでも作れて、オリジナルのヨーグルトを楽しめます。
ぬか漬けは、市販のぬか床を使えば、すぐに漬け込んで食べられます。季節の野菜で、自分好みの味に育てる面白さが魅力です。
発酵食品は単品で食べてもいいですが、より効果が高まる食べ合わせがあります。
たとえば、ヨーグルトと甘酒や、納豆とキムチのように、発酵食品同士を組み合わせると、違う種類の菌を同時にとれるので、効果や栄養価がさらに高まります。
また、ヨーグルトとオリゴ糖や、酢と果物のように、発酵食品にほかの食べ物を足すと、栄養の吸収が良くなり、酸味が和らいで食べやすくなるといった効果もあります。
次に、発酵食品の食べ合わせについて、詳しくみていきましょう。
発酵食品の効果がより高まって、おいしさもアップする食べ合わせを選びました。
身近な食材ばかりですので、発酵食習慣にぜひ取り入れてみて下さいね。
ヨーグルトとドライフルーツを一緒に食べると、乳酸菌と食物繊維の相乗作用で、腸内環境を改善して、免疫力サポート効果が高まります。
おすすめのドライフルーツは、レーズン、プルーン、デーツ、干し柿です。
レーズンは、果糖やブドウ糖が素早くエネルギー源になるので、朝の栄養補給にぴったりです。プルーンは、鉄が豊富で貧血予防に効果的。デーツと干し柿は、食物繊維が多く、お腹スッキリ効果が期待できます。
ヨーグルトにお好みのドライフルーツを混ぜて、すぐに食べてもいいですが、1晩冷蔵庫に置くのがおすすめです。ドライフルーツは柔らかくジューシーに、ヨーグルトはとろりと濃厚になり、満足感が味わえます。
ただし、ドライフルーツは糖分が多いので、1日20~30gを目安に、食べすぎないよう気をつけましょう。
ヨーグルトとオリゴ糖やオリゴ糖を含む食材を一緒に食べると、整腸作用や腸内細菌を増やす作用が高まります。
オリゴ糖は、低消化性の糖類なので、胃や小腸で吸収されにくい性質があります。そのため、大腸まで届いて、ヨーグルトの善玉菌の栄養源(エサ)になり、大腸内の環境を良くする手助けをします。
オリゴ糖のシロップやパウダーをヨーグルトに混ぜるほか、オリゴ糖を含む甘酒やきなこ、はちみつ、バナナなどを、ヨーグルトと組み合わせるのも効果的です。
納豆とキムチの組み合わせは、納豆菌とキムチの乳酸菌を一緒にとることで、より効果的に腸内環境を整えてくれます。
どちらも加熱調理の必要がなく、手間なく準備ができるのも利点です。
ごはんや冷たいうどん、そばなどにかけてもおいしくいただけます。
キムチの唐辛子には、発汗を促すカプサイシンが豊富で、納豆のナットウキナーゼとともに、血行を促進し代謝を高める効果も期待できるので、免疫力対策に役立ちます。
ぬか漬けとごはんは、定番の組み合わせですが、疲れがたまっているときにおすすめしたい食べ方です。
ぬか漬けの発酵に欠かせない酵母菌は、糖質の代謝を助ける作用があります。白米とぬか漬けを一緒に食べると、白米の糖質が素早くエネルギーに変わるため、疲労を和らげて、免疫力の低下を防ぎます。
また、白米は、精米するときに、ぬかと一緒にビタミンやミネラル類もとり除かれてしまいます。ぬか漬けは、ぬかの栄養素が野菜に移るので、白米と一緒に食べると、とり除かれた栄養素を補えます。
お酢と果物の組み合わせは、お互いの栄養効果を高めて、疲労回復を助けます。
酢のすっぱさの成分である酢酸やクエン酸は、疲労感のもとになる乳酸の代謝をスムーズにして、すばやく疲れをとります。
また、果物に豊富なビタミンCは、活性酸素のはたらきを抑える抗酸化作用があり、免疫機能の低下を防ぎます。ビタミンCは壊れやすい欠点がありますが、果物と酢を一緒にとると、酢酸が果物のビタミンCを保護して、効率的に摂れるようになります。
酢に果物を漬けたサワードリンクなら、手軽においしく続けられます。
作り方は、オレンジ、グレープフルーツ、キウイ、イチゴなどの果物と、氷砂糖、酢を保存容器に入れて、常温で1週間ほど置いておくだけ。
果物を取り出した原液を、水や炭酸水で、お好みの濃さに割れば、疲れに効く自家製ドリンクのできあがりです。
冷やしてお風呂上りに飲むと、さっぱりとした味わいで、気持ちよく喉が潤います。
体を温めたいときは、お湯で割ってホットドリンクにしてもいいでしょう。
発酵食品の食べ方のコツと効果的な食べ合わせをご紹介しましたが、いかがでしたか?
発酵食品を上手に取り入れるポイントは、毎日少しずつでも、効果的な時間と組み合わせで、たまには手作りを楽しみながら、無理なく続けることです。
最近、お腹の調子がイマイチ、疲れがたまっているという方は、発酵食生活を実践してみませんか?いいなと思った食べ合わせがあれば、ぜひ試してみて下さいね。
《参考URL》
厚生労働省e-ヘルスネット「オリゴ糖(おりごとう)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-003.html
《参考書籍》
『女子栄養大学の発酵食のすべて』
女子栄養大学副学長 五味紀春監修 古川知子レシピ監修 株式会社エクスナレッジ発行
『すべてがわかる!「発酵食品」事典』
小泉武夫・金内誠・館野真知子監修 株式会社世界文化社発行
管理栄養士 山田 由紀子
乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。
体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。