春のだるさは酵素不足が原因? 心身を整える「酵素」の効果

 

 

凍えるような寒い時期から、少しずつ春の温かさを感じられる季節になりました。
明るい日差しに誘われて、お出かけを楽しんだり、新しい生活の準備をしたりと、忙しくなる時期でもありますね。
ところが、なんとなく体がだるい、気分がふさぎがちなど、思ったように動けないと感じている方も多いのではないでしょうか?

 

春は、寒暖差や花粉症の影響などでストレスがかかり、心身の不調が出やすくなります。
春のだるさを招く原因は、自律神経や生活習慣の乱れなどがありますが、今回は、食事の酵素不足に注目してみましょう。

 

「酵素」とはなにか、酵素の効果や不足するとどうなるのかについて、解説します。
酵素不足のチェックもありますので、気になるかたは、ぜひ確認してみて下さいね。

 

酵素って何?

 

酵素とは、タンパク質の一種で、体の中で起こるさまざまな化学反応をスムーズにする役目があります。食べ物の消化や吸収、代謝など、あらゆる生命活動に使われるため、私たちが生きていくうえで欠かせない物質です。

 

酵素には大きく3種類があります。人の体内で作られる「消化酵素」と「代謝酵素」、食べ物などから取り入れる「食物酵素」です。

 

酵素の種類

 

人の体内にある酵素は、「潜在酵素」と呼ばれ、およそ5,000種類も存在していて、それぞれの酵素に決まった働きがあります。
働きの違いで、「消化酵素」と「代謝酵素」の二つに分けられます。

 

◎潜在酵素(消化酵素・代謝酵素)

 

 

「消化酵素」は、私たちが食べたものを消化するために体内で作り出される酵素です。
胃や小腸、すい臓などの消化器官から分泌され、食べ物に含まれる栄養素の炭水化物、たんぱく質、脂肪などを、消化吸収しやすいように、小さな分子まで切り分けます。

 

たとえば、唾液やすい液に含まれる「アミラーゼ」は、でんぷん(糖質)をブドウ糖に分解して、お米やパン、めん類などの消化吸収を助けます。

 

「代謝酵素」は、体内で吸収された栄養素をエネルギーに変え、体の細胞に届けるために使われる酵素です。
代謝酵素の働きにより、全身の新陳代謝を促して、免疫力や治癒力を高めます。
また、呼吸や運動、脳での思考、体の成長、細胞の修復、ホルモンや神経のバランスを整える調整機能など、あらゆる生命活動を支えています。

 

◎食物酵素

 

 

「食物酵素」は、生野菜、生の果物、生肉、生魚、発酵食品などに含まれる酵素です。
食べ物の分解を促し、消化を助ける働きがあります。

 

たとえば大根おろしに含まれる酵素のアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼは、それぞれ、でんぷん、たんぱく質、脂肪の分解を助けます。そのため、大根おろしをおもちや焼き魚と一緒に食べると、消化を助けて胸焼けや胃もたれを防いでくれます。
食物酵素は、熱に弱く50~60℃前後で効力が失われてしまうので、加熱せずに食べるようにします。

 

酵素にはどんな効果がある?

 

 

酵素は、人の生命活動に欠かせないもので、私たちの心身にさまざまな影響や効果をもたらします。
今回は、春の不調に対する良い効果として、どのようなものがあるのかをみていきましょう。

 

代謝を上げてだるさ解消

 

生野菜や果物、発酵食品などをよく食べ、食物酵素を取り入れると、消化が促進されて、体内にある消化酵素の使い過ぎを防いでくれます。
代謝酵素が十分に使えると、代謝が上がって、老廃物や疲労物質などが排出されやすくなり、だるさや疲労感を和らげる効果が期待できます。
適度な運動もプラスすれば、脂肪燃焼効果がより高まるので、薄着の季節へ向けて、健康的なダイエットにもつながります。

 

腸内環境を整えて免疫力効果

 

食べものから食物酵素を取り入れることで、消化による胃腸への負担が減り、腸内環境が整いやすくなります。
また、野菜や果物に豊富な食物繊維は、お腹の調子を整える作用があります。

 

腸内環境が乱れると、免疫機能のバランスも崩れがちになり、花粉症やアレルギー症状などが出やすくなります。
春は、自律神経が乱れて、便秘や下痢などにもなりやすいので、季節の変わり目を元気に乗り越えるために、腸内環境を整えることはとても大切です。

 

また、生野菜や果物の色や香り、苦みの成分であるフィトケミカルやビタミン類は、老化の原因になる活性酸素を減らして、肌あれ改善や美肌づくりにも役立ちます。

 

酵素が不足するとどうなる?

 

 

酵素が不足すると、代謝がうまくできず、体調不良や病気を引き起こす原因になります。
代謝とは、食事で取り入れた栄養素を体内で燃やし、活動するためのエネルギーに変えることです。
代謝が下がると、疲れやすい、だるい、肩こり、冷え、むくみ、胸やけ、肌あれなどの不調が出やすくなります。
また、免疫力にも影響するので、風邪や花粉症などの病気にもかかりやすくなります。

 

消化酵素と代謝酵素は、一定の分量が体内で作られますが、生産される量は年齢とともに少しずつ減っていきます。年齢を重ねると、揚げ物で胸焼けがしたり、太りやすくなるのはそのためです。
さらに、不規則な生活や食習慣をしていると、消化酵素が多く使われる分、代謝酵素が減ってしまいます。

 

春のだるさや不調を感じたら、酵素不足にならないように、食生活を見直しましょう。

 

あなたは大丈夫?『酵素不足チェック』をしてみよう

 

体がだるくて疲れやすい、なんとなく調子が悪いと感じていませんか?
あなたの食事内容を振り返り、酵素不足になっていないか確認してみましょう。

 

 

酵素不足チェック

 

食事は満腹になるまで食べる
20時以降に夕食やおやつを食べる
果物よりスイーツを食べることが多い
生野菜サラダより野菜スープが好き
スナック菓子や甘いお菓子をよく食べる
炭酸飲料やジュースをよく飲む
冷凍食品やインスタント食品をよく食べる

 

いくつチェックがつきましたか?
1つでもチェックがあったら、酵素不足になっているかもしれません。
チェックがついた項目の改善ポイントを覚えておいて下さいね。

 

酵素不足を防ぐ改善ポイント

 

食事は満腹になるまで食べる
→食事を食べすぎると、消化吸収するために、消化酵素がたくさん使われて、代謝が落ちる原因になります。胃や腸などの消化器官にも大きな負担がかかります。
腹八分目から六分目くらいを心がけた食事にすると、酵素不足を防いで、健康維持や肥満予防にもなります。

 

20時以降に夕食やおやつを食べる
→食べ物を消化しやすい時間は、20時頃まで。遅い時間に夕食やおやつを食べると、消化不良になり、肥満や病気を引き起こす原因になります。
夕食はなるべく20時までに済ませて、遅くとも22時以降は食べないようにするのがベストです。

 

果物よりスイーツを食べることが多い
野菜サラダより野菜スープが好き

→生の果物や生野菜は、できるだけ毎日とるようにしましょう。
食物酵素が、食べ物の消化吸収をサポートします。さらに、ビタミン、ミネラル、食物繊維、抗酸化作用を持つフィトケミカルなどの栄養素もとれるので、美容と健康アップにも良い影響があります。
野菜サラダが苦手な方は、ピクルスや酢漬けなどを作り置きして、毎日少しずつ食べるのがおすすめです。

 

スナック菓子や甘いお菓子をよく食べる
炭酸飲料やジュースをよく飲む
冷凍食品やインスタント食品をよく食べる

→お菓子やジュース、加工食品などの食べすぎは、消化酵素が多く使われて、酵素不足を招いてしまいます。習慣的に飲食することは避けて、たまに楽しむ程度に減らしていきましょう。

 

まとめ

 

「酵素」とはなにか、酵素の効果や不足するとどうなるのかについて説明してきましたが、いかがでしたか?

 

酵素は、私たちが生きていくうえで欠かせない物質で、食べ物の消化や吸収、代謝に使われるほか、呼吸や運動、脳での思考、細胞の修復、体の成長や調整機能など、あらゆる生命活動を支えています。

 

酵素不足で代謝が下がると、だるさや疲れを感じやすくなり、免疫力にも影響して、花粉症やアレルギー症状が出ることもあります。

 

春のだるさを感じたら、毎日の食事で生野菜や果物、発酵食品などを積極的に食べて、体の中に、酵素を取り入れましょう。
少しずつでも習慣を変えて、酵素を意識した食事をはじめてみませんか。

 

《参考URL》

NPO法人 日本酵素栄養学協会「酵素ってなに?」
http://n-kouso.org/enzyme

公益財団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット「酵素の働きと健康効果」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/koso-kenko.html

《参考書籍》

『超・酵素フード&ジュースレシピ』
鶴見隆史著 牛尾理恵料理 成美堂出版発行

 

 


管理栄養士 山田 由紀子

乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。

体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。

 

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