みなさんは、「旬」を意識して、食事をとっていますか?
春になると、菜の花や春キャベツ、アスパラガスなどの春野菜が旬を迎えます。
春野菜は栄養豊富で、冬の間に溜まりやすい体内の水分や老廃物の排出を助けるデトックス成分が含まれています。そのため、おいしく食べることで、今の時期に起こりやすいむくみや肌荒れの解消に役立ちます。
今回は、旬の春野菜を食べることで期待できるデトックス効果について解説します。
おすすめの春野菜のほか、果物や山菜などもご紹介しますので、毎日の食事に旬のものを取り入れて、春特有の不調対策をはじめましょう。
「デトックス」は、英語の「detoxification」を略したもので、「解毒」という意味です。
体内の毒素や老廃物、余分な水分などを、便や尿、汗などで体外へ出すことをいいます。
私たちの体に備わっている解毒する力をしっかり働かせるためできることは4つあります。
1.デトックス成分が含まれる食べ物をとる
2.食物繊維が含まれる食べ物をとる
3.水分補給をしっかり行う
4.軽い運動を行う
デトックスがスムーズに行われることで、新陳代謝が活発になり、血液やリンパの流れが促進され、むくみ、肌荒れ、お通じの改善や、肩こり、冷え性の緩和、生活習慣病の予防などにつながります。
春野菜は、特有の苦みや香りを持つものが多いですが、これらには、体内の老廃物や毒素を排出するデトックスをうながす働きがあります。
また、ビタミンやミネラル類も豊富に含まれているので、紫外線や花粉で荒れやすいお肌の修復や免疫機能の向上、疲労回復などの効果も期待できます。
カリウムは、体内の余分なナトリウム(塩分)や水分を排出する作用で、むくみを解消します。筋肉のはたらきを活発にする作用もあるので、疲労予防によい効果が期待できます。
たけのこ、三つ葉、アスパラガス、メロンなどに多く含まれています。
β(ベータ)カロテンは、抗酸化作用が高く、皮膚の新陳代謝をうながして健康に保ち、肌荒れ予防に役立ちます。
人参はとくに豊富で、キャベツの外葉、菜の花、アスパラガス、ビワなどにも多く含まれています。
食物繊維は、腸内の老廃物などの毒素を吸着して体外へ排出するのに役立ちます。
また、ナトリウムの排出をうながしたり、腸内環境を整えたりするはたらきもあります。
たけのこ、菜の花、ふき、わらび、ぜんまいなどに多く含まれています。
植物性アルカロイドは、春野菜の苦みや香りのもととなる成分です。
新陳代謝を高めて、体内の老廃物や水分の排出をうながす作用があります。
菜の花、クレソン、たらの芽、うど、ふきのとうなどに多く含まれています。
イソチオシアネートは、キャベツなどアブラナ科の野菜に含まれる抗酸化作用のある辛み成分です。肝臓の解毒作用を強化する効果も期待されます。
キャベツ、菜の花などに多く含まれています。
デトックス成分が含まれる春野菜、果物、山菜などをみていきましょう。
それぞれの効果や食べ方のコツをご紹介します。
春野菜とは、3月から5月頃に収穫期を迎える野菜です。
菜の花やクレソンなど、特有の苦みや香りを持つものが多く、鮮やかな緑色が、明るい春を連想させます。
年中、店頭に並ぶ玉ねぎやキャベツ、人参なども、春が旬のものは、「新玉ねぎ」「春キャベツ」「春人参」などと呼ばれます。
みずみずしくて、甘みがあり、柔らかいので、生のままでもおいしくいただけます。
春が旬の果物は、いちごやさくらんぼ、甘夏などがあります。香りや甘みが強く、栄養豊富ですが、とくにビタミンCが多いのが特徴です。
代表的な春野菜・果物
春キャベツ、新たまねぎ、新じゃがいも、春にんじん、たけのこ、菜の花、クレソン、アスパラガス、いちご、さくらんぼ、びわ、キウイ、メロン、甘夏、はっさくなど
[デトックスを助けるおすすめ春野菜・果物]
春人参は、通常の人参よりも甘くて柔らかく、みずみずしいのが特徴です。
βカロテンが豊富で、抗酸化作用が高く、皮膚の状態を良くして、肌荒れを防ぎます。
カリウムも多いので、余分なナトリウムや水分を排出するデトックス効果が期待できます。さらに、ビタミンB、C、鉄、カルシウムなどの栄養素もバランスよく含まれています。
春人参は、甘みが強いので、生のままジューサーにかけてジュースにするのがおすすめです。ヨーグルトと合わせると、お腹スッキリ効果が高まります。
春キャベツは、葉がやわらかくて巻きがゆるく、緑色が濃いのが特徴です。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸を含み、中心部にはビタミンCが多く、外側の緑色部分はβカロテンも含んでいます。
イソチオシアネートや食物繊維なども多く、デトックス効果が期待できます。
生でも甘みがあるので、さっと洗って手でちぎり、ドレッシングで和えて、シンプルなサラダにするのがおすすめです。
新玉ねぎは、みずみずしくてやわらかく、辛みが少ないのが特徴です。
辛みのもとになる硫化アリルが含まれ、消化液の分泌をうながして、新陳代謝を盛んにします。硫化アリルは水溶性で熱に弱いので、生のまま食べるのが効果的です。
薄くスライスして、ドレッシングやぽん酢で和えて早めに食べるといいでしょう。
色鮮やかな緑色で、シャキッと歯ざわりのあるグリーンアスパラガス。ホワイト種より、日光を浴びたグリーン種のほうが栄養豊富です。
アミノ酸の一種であるアスパラギン酸が多く、筋肉疲労でたまった乳酸を分解してエネルギーに変え、新陳代謝を高めます。
植物性アルカロイドが、腎臓の機能を高めて、体内の老廃物や余分な水分の排出をうながします。
豊富なビタミンの損失を抑えるには、下ゆでせずに、さっと油で炒めるのがおすすめです。
菜の花は、春の訪れを告げる野菜のひとつで、独特のほろ苦さが特徴です。
デトックス成分のイソチオシアネート、カリウム、食物繊維が豊富で、肝臓の解毒作用を高めて、体内の余分な水分や老廃物の排出をうながします。
菜の花は、さっとゆで、たっぷりのすりごまで和える胡麻和えがおすすめです。ごまもカリウムが豊富なので、さらにデトックス効果が高まります。
いちごといえば、クリスマスケーキのイメージで、旬は冬と思われがちですが、本来の旬は春。3月から4月頃がもっとも甘く熟した食べごろになります。
いちごは、ビタミンCが豊富に含まれています。
春の紫外線によるしみやそばかすが気になる方は、新鮮な旬のいちごを生のままいただきましょう。
春の山菜は、早春から初夏にかけて旬を迎え、苦みや渋み、香りが強いのが特徴です。
ほろ苦さがクセになるふきのとう、特有の香りが食欲をそそる三つ葉、シャキシャキ食感が楽しいうどなど、個性豊かな天然の山菜は、今の時期しか手に入りません。
食べられる山菜は、全国各地の山で自生していて、数百種類もあるといわれています。
代表的な山菜
三つ葉、たらの芽、うど、わらび、ぜんまい、ふき、ふきのとうなど
[デトックスを助けるおすすめ山菜]
うどは、さわやかな香りとシャキシャキとした歯ざわりが特徴です。
わずかに含まれる精油成分により、発汗や利尿作用などのデトックス作用があります。
食物繊維が豊富で、エネルギー代謝を高めるといわれるアスパラギン酸を多く含むので、疲労回復にも効果的です。
山菜では珍しく生で食べられるので、茎の皮を厚めにむき、酢水であく抜きをして、酢味噌和えにすると、香りと食感を楽しめます。
ふきのとうは、ふきの花のつぼみで、爽やかな香りとほんのり広がる苦味が特徴です。
苦み成分の植物性アルカロイドは、デトックス作用のほか、消化促進や食欲増進の効用があります。
ガクが少し閉じ気味の状態が食べごろで、天ぷらにすると苦味がやわらぎ、食べやすくなります。
旬の春野菜を食べることで期待できるデトックス効果について、説明してきましたが、いかがでしたか?
日本には昔から「初物七十五日(はつものしちじゅうごにち)」ということわざがあり、旬のものを食べると寿命が75日のびると信じられていました。
春野菜や果物、山菜などには、今の時期に必要な栄養素や成分が豊富に含まれています。
旬のものは、味が良く、栄養価が高いうえに、価格も手ごろといいことばかりです。
自然のパワーを上手に取り入れて、体の中からスッキリきれいになるデトックスをはじめてみませんか?
《参考URL》
厚生労働省e-ヘルスネット「旬を取り入れた食生活(春・夏)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-03-020.html
《参考書籍》
『日本の食材帖実践レシピ』
女子栄養大学名誉教授 吉田企世子著 (株)主婦と生活社発行
管理栄養士 山田 由紀子
乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。
体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。