忙しくても朝食を食べよう! 朝におすすめの食べ物・避けたい食べ物

 

 

新年度がスタートして、慌ただしい毎日の中で、疲れが出始めるころではないでしょうか。
忙しい1日を元気に乗り切るために、大切な生活習慣の1つが、「朝ごはん」です。

 

朝は時間がない、少しでも長く寝ていたい、食欲がないなどの理由で、朝食を食べていない方もおられるかもしれません。

 

朝食を抜いていると、午前中の仕事に集中できない、昼食後に眠気とだるさを感じる、便秘気味、寝起きが悪いなどのお悩みを感じやすくなります。

 

そこで、今回は、朝食を食べるメリットと朝食抜きのデメリット、そして、朝に食べるといいもの、避けたいものなどをご紹介します。

 

新しい生活のはじまりに、毎日の朝食のとり方を見直してみませんか?

 

朝食を食べるメリットとは?

 

朝食は、お腹を満たすだけではなく、体と心にいい影響がたくさんあります。
朝食を食べるメリットをみていきましょう。

 

 

1.目が覚める

 

朝食を食べると、寝ている間に低下した体温が上がり、体が活動できる状態になります。
その後、午前中の体温の維持を助けて、日中の活動もスムーズに行えます。
起きたときは眠気があっても、温かい飲み物やスープなどを飲むと、スッキリと目が覚めてきます。

 

2.太りにくくなる

 

朝食を食べて、体温が上がると、代謝もアップするので、食べても太りにくい状態になります。ダイエットのために朝ごはんを抜いているという方は、逆効果になる場合もありますので、要注意です。

 

3.便通が良くなる

 

朝食を食べると、腸が刺激されて、便通が良くなります。
食物繊維が豊富な雑穀類や野菜、温かい汁物などを食べると、より効果的です。
朝からお腹がスッキリすると、1日気分よく過ごせますね。

 

4.体のリズムが整い、自律神経やホルモンバランスが良くなる

 

朝食には、体内時計をリセットする効果があります。
人間の体内時計は、1日24.5時間周期なので、朝の光と食事の刺激によって、24時間サイクルとのずれを調整します。
体内時計をリセットして、体のリズムが整うと、自律神経やホルモンバランスも良くなります。

 

5.集中力がアップし、ストレスに強くなる

 

朝食を食べると、エネルギー源となるブドウ糖が脳へ供給されて、集中力がアップします。
食事の習慣が整うと、睡眠もとりやすくなり、ストレスに負けないメンタル管理にもつながります。

 

朝食抜きのデメリットとは?

 

次に、朝食を抜くとどのようなデメリットがあるのかをみていきましょう。

 

 

1.目覚めが悪くなる

 

私たちの体は、睡眠中も休むことなく活動し、エネルギーが消費されています。
朝食を抜いてしまうと、脳へエネルギーが供給されないので、目が覚めにくく、だるさや疲れを感じやすくなってしまいます。

 

2.太りやすくなり、生活習慣病のリスクが高まる

 

朝食を食べないと、体温が上がりにくく、代謝も下がり、太りやすくなってしまいます。
また、朝食抜きで、昼食をとると、空腹感から食べすぎてしまったり、血糖値の急上昇で、インスリンが多量に分泌されて、血液中の糖質をため込んでしまうため、太りやすい傾向になったりします。

 

ちょっと怖い話ですが、朝食抜きは、脳卒中による脳出血のリスクが高くなるという研究報告もあります。国立がん研究センターなどの研究チームによると、朝食を食べない人は、空腹から血圧が上昇し、朝食を毎日食べる人に比べて、脳出血のリスクが高まった可能性があるということです。

 

3.便秘になりやすい

 

朝食を抜くと、腸が刺激されないので、便意が起こらず、便秘になりやすくなります。
朝食後が、もっとも便意が起こりやすいため、この時間帯を逃すと、自律神経の動きが鈍って、便意を感じにくくなり、便秘が慢性化してしまいます。
また、1日に摂取する食物繊維の量が減るので、便の材料が足りなくなり、便秘につながります。

 

4.集中力が低下し、眠気やだるさを感じる

 

朝食を食べないと、脳のエネルギー源が不足して、集中力が低下します。
空腹状態が続いたあと、昼食で一気に食べてしまうと、血糖値の急上昇、急下降が起こり、昼食後に眠気やだるさを感じやすく、集中力がさらに低下してしまいます。

 

朝食は「たんぱく質」と「酵素」を摂ろう!

 

朝食が大切とわかっていても、なかなか思ったように食べられない方も多いでしょう。
朝食では、ごはんやパンなど炭水化物を含む食品はとりやすいですが、たんぱく質を含む食品や、酵素を含む野菜や果物は不足しがちです。

 

時間や手間をかけられない時でも、簡単に食べられるお手軽な食材をご紹介しますので、明日からの朝食準備の参考にしてくださいね。

 

「たんぱく質」で筋力・代謝アップ効果

 

 

朝にしっかりたんぱく質をとると、筋肉が増えやすくなって、基礎代謝が上がり、ダイエットや生活習慣病予防に効果的です。

 

たんぱく質は、成人女性で1日に60~90g程度必要とされていますが、多くの方は不足しています。朝食では、たんぱく質を25g以上はとれるように心がけましょう。

 

~おすすめのお手軽たんぱく質食材~
◎牛乳(コップ1杯200mlあたりたんぱく質6.8g)

牛乳に含まれるたんぱく質は、アミノ酸がバランスよく構成されていて、体に吸収されやすい特徴があります。
たんぱく質以外にも、脂質、炭水化物、カルシウム、ビタミンB群などの栄養素も豊富です。
ただし、牛乳を飲むとお腹の張りや下痢、腹痛などの症状が起こる乳糖不耐症の方は、朝食で牛乳を飲むのは控えましょう。

 

◎ヨーグルト(1カップ160gあたりたんぱく質6.9g)
ヨーグルトは、良質のたんぱく質が豊富で、骨や歯を丈夫にするカルシウムも多く、吸収しやすいのが特徴です。
乳酸菌やビフィズス菌などの整腸作用により、お腹スッキリ効果も期待できます。

 

プレーンヨーグルトに、オートミールやフルーツ、ナッツ類などをプラスすると、食物繊維やビタミン類、酵素などをバランスよくとれます。

 

◎納豆(1パック50gあたりたんぱく質8.3g)
納豆の原料である大豆は、「畑の肉」と呼ばれるほど良質な植物性たんぱく質が豊富に含まれています。また、納豆菌は、腸内環境を改善する効果があります。

 

大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た作用を生じることから、骨がもろくなる骨粗しょう症の予防や更年期障害の軽減に有用といわれています。

 

ご飯に納豆をかけて食べると、炭水化物とたんぱく質を一緒にとれて、忙しい朝でもお手軽に食べられます。

 

◎卵(1個あたり質8.6g)
卵は、良質なたんぱく質が豊富に含まれ、体内への吸収率が良いので、朝食にぴったりの食品です。
「完全栄養食」ともいわれ、ビタミンCと食物繊維以外のほとんどの栄養素をバランスよく含んでいます。

 

ゆで卵を作っておいたり、ごはんに生卵をかけるたまごかけご飯にしたりすれば、時間のない朝でも手間なく食べられます。

 

「酵素」でお腹スッキリ・代謝アップ効果

 

 

生野菜や果物、発酵食品などに含まれる「食物酵素」には、消化を促進する作用があります。朝食で酵素をとり入れると、消化による胃腸の負担を減らして、腸内環境が整いやすくなります。また、代謝を上げて、老廃物や疲労物質などを排出する作用により、だるさや疲労感を和らげる効果も期待できます。

 

~おすすめのお手軽酵素食材~
◎りんご

りんごは、「1日1個で医者いらず」といわれるほど、健康パワーを持つ果物です。
水溶性食物繊維のペクチンのほか、抗酸化作用の高いりんごポリフェノール、クエン酸やリンゴ酸、カリウムなどが豊富で、整腸作用や美肌効果、疲労回復、むくみ改善などが期待できます。
酵素をとりいれるためには、皮つきで生のまま切って、早めに食べましょう。

 

◎バナナ
バナナは、デンプンを分解する作用のある酵素「アミラーゼ」を含みます。
アミラーゼは完熟したバナナのほうが多いので、茶色い斑点のあるバナナを選ぶといいでしょう。
糖質が多く、消化吸収が良いうえに、ビタミンB1、B2、Cなどのビタミン類やカリウム、マグネシウムなどのミネラル類も豊富。お腹の調子を整える効果やストレスを和らげる効果があります。

 

◎小松菜
小松菜は、栄養価の高さでは野菜の中でもトップクラスです。
カルシウムや鉄、カリウムなどのミネラル類や、体調を整えるビタミン類などが豊富に含まれています。
アクが少ないので、生のままミキサーにかけてグリーンジュースすれば、酵素をしっかりとり入れることができます。

 

◎トマト
トマトは、カロテノイドの一種であるリコピンとβ-カロテンが豊富で、強い抗酸化力による生活習慣病の予防効果が期待されます。
トマトの酸味のもととなるクエン酸には、食欲増進や疲労回復効果があるので、食欲がなくだるい朝には、生のトマトを食べるのがおすすめです。

 

朝食には避けたい食べもの

 

最後に、朝食で避けたい食べ物について説明します。 絶対に食べてはいけないものではありませんが、健康のためには、習慣にしないほうが良いものになります。

 

◎菓子パンのみ

 

 

メロンパンやクリームパン、ジャムパンなど、甘い菓子パンだけの朝食は、なるべく避けましょう。たんぱく質の量は少なく、糖分や脂質のとり過ぎになりやすいです。
市販のパンを選ぶときは、甘い菓子パンよりも、チーズや卵、ウインナーなどのたんぱく質食品が入った総菜パンのほうがいいでしょう。

 

◎甘いシリアルのみ

 

 

砂糖が添加されたコーンフレークやチョコレート味など甘いシリアルだけの朝食は、糖分のとり過ぎと、たんぱく質、ビタミンC、酵素などが不足してしまいます。

 

シリアル食品でも、砂糖不使用のものや、オートミール、オールブランなど食物繊維が豊富なものに、フルーツやナッツなどをトッピングし、牛乳やヨーグルト、卵、チーズなどたんぱく質を含む食品も一緒に食べるといいですね。

 

まとめ

 

朝食を食べるメリットと朝食抜きのデメリット、朝に食べるといいもの、避けたいものなどをご紹介してきましたが、いかがでしたか?

 

朝食を食べることで、目が覚める、太りにくくなる、便通が良くなる、体のリズムが整い、自律神経やホルモンバランスが良くなる、集中力がアップし、ストレスに強くなるなど、たくさんのメリットがありましたね。

 

朝は、忙しくて大変だという方は、牛乳やヨーグルト、納豆、バナナなど、調理しなくてもそのまま食べられる食品を、パンやごはんにプラスしてみてはどうでしょうか。

 

まずは、朝5分だけ早起きして、簡単な朝ごはんから始めてみませんか?

 

《参考URL》

農林水産省 めざましごはん「朝とごはんを食べないと?」
https://www.maff.go.jp/j/seisan/kakou/mezamasi/about/about.html

国立がん研究センター がん対策研究所予防関連プロジェクト
「朝食の欠食と脳卒中との関連について」
https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/3768.html

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」たんぱく質
https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586557.pdf

《参考書籍》

『時間栄養学』
柴田重信 編 化学同人 発行

 

 


管理栄養士 山田 由紀子

乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。

体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。

 

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