自律神経の乱れで下痢に?!腸をいたわる食事のとり方

 

 

下痢は誰でも一度は経験したことがあるでしょう。しかし、最近、頻繁に下痢になるという方は、自律神経の乱れに注意して下さい。

 

5月は、寒暖差の影響や、新しい環境の疲れやストレスなどによって、自律神経が乱れやすい時期です。
自律神経と腸は相互に影響し合うので、自律神経が乱れると、腸の動きが低下したり、腸内細菌のバランスが崩れたりして、下痢の症状が出やすくなります。

 

この記事では、下痢になる原因と、症状を改善する食事のとり方、そして下痢になりにくい腸をつくるための食事や生活習慣についてご紹介します。
下痢に悩まされる前に、ぜひ参考にしてください。

 

下痢になる原因は?

 

 

下痢になる原因はさまざまですが、一般的には以下のようなものがあります。

 

1.感染性の下痢

 

ウイルスや細菌などの病原体が、腸に侵入して炎症を起こすことで起こる。
急性胃腸炎や食中毒など。

 

2.非感染性の下痢

 

食べ物や薬などの刺激によって起こる。
食べすぎや飲みすぎによる消化不良、食物アレルギー、抗生物質などが原因の下痢など。

 

3.慢性的な下痢

 

消化器の病気や加齢によって起こる。
過敏性腸症候群、大腸がん、潰瘍性大腸炎、クローン病などがある。

 

4.その他の下痢

 

ストレスや冷え、生活習慣、ホルモンバランス、自律神経の乱れなどによって起こる。
心身のバランスを整えることが大切。

 

下痢は、体内の有害な物質を出すための自然な反応ですが、長く続くと脱水や栄養不足になる危険性があります。
下痢がひどいときや発熱、血便があるときなどは、早めに医師に相談しましょう。

 

下痢症状を改善する食事のとり方

 

下痢になったら、症状を改善するために、食事のとり方に気をつけることが重要です。
何から食べればいいのか、食べてもよい食品、控えるべき食品をみていきましょう。

 

・まず水分補給をする

 

 

下痢が続いていて、腹痛がある間は、固形物は胃腸に刺激を与えるため、水分だけをしっかりとるようにします。
下痢によって、体内の水分や電解質が多く失われるため、脱水症状を引き起こすおそれがあるからです。

 

水分補給には、湯冷まし、麦茶、ほうじ茶、常温のスポーツドリンクなど、胃腸に刺激が少なく、吸収しやすいものを選び、少量ずつ様子を見ながら飲みましょう。
症状が落ち着いてきたら、温かくて消化の良い食べ物を少しずつ食べていきます。

 

食べても良い食品

 

◎消化のよいもの

 

 

下痢が止まり、腹痛も治まってきたら、水分と栄養分を補給するために、やわらかくて消化の良いものを食べましょう。
おかゆ、よく煮たうどん、やわらかく煮た野菜スープ(ほうれん草、大根、人参など)、ゆでたささみや白身魚、半熟卵、プリン、くず湯、すりおろしりんごなどを、少しずつ食べて、お腹の調子を見て下さい。

 

栄養不足を防ぎ、体力を回復するために、食べやすいものを中心に、少量ずつこまめに食事をとるようにしましょう。

 

◎ヨーグルト

 

 

消化の良いものを食べられるようになったら、少しずつヨーグルトを食べるのもおすすめです。ヨーグルトに含まれる乳酸菌やビフィズス菌などによる整腸作用で、腸内環境を整えて、腸の回復を手助けします。

 

ただし、下痢の症状がひどい時は、症状を悪化させてしまう場合があるので、控えましょう。
また、普段から牛乳などの乳製品でおなかがゆるくなりやすい乳糖不耐症の方は、ヨーグルトは食べないようにして下さい。

 

調理のコツ

 

下痢の時の食事は、ゆでる、煮る、蒸すなど、水分が多くやわらかい仕上がりになる調理法を用いましょう。

 

野菜は、繊維を断ち切るように、横に切り、細かく切ってから、やわらかくなるまで加熱調理をします。
胃壁を守るネバネバ食材の長いもや、消化を助ける酵素を含む大根などをとり入れるのも効果的です。
肉を調理する場合は、脂肪や皮、スジの部分をとり除くと、消化が良く、胃腸の負担を減らせます。

 

控えるべき食品

 

下痢の時には、以下のような食べ物は、なるべく控えましょう。

 

◎消化の悪いもの

 

 

下痢のときは、消化が悪く、胃腸に負担のかかる食品はNGです。
脂肪の多い肉類や揚げもの、食物繊維の多い根菜類、海藻、きのこ、こんにゃく、塩辛い食べ物、糖分を多く含むケーキやお菓子などは、体調が回復するまでは我慢します。

 

◎ガスを発生するもの

 

 

いも類、かぼちゃ、栗、豆などは、腸内で発酵してガスを発生しやすく、腸を刺激するので、できるだけ控えます。

 

◎冷たいもの

 

 

冷たい食べものや冷たい飲み物は、腸の働きを低下させ、下痢の症状を悪化させてしまうので、避けましょう。
また、キュウリやレタスなどの生野菜、バナナ、パイナップル、マンゴーなどの南国フルーツ類は、体を冷やして腸に刺激を与えるため、下痢が治るまで食べないようにします。

 

◎刺激の強いもの

 

 

スパイスの効いた辛い食べ物や、酸味の強い酢の物、アルコール飲料やコーヒーなどは、腸に刺激を与えるので、控えます。
また、清涼飲料水やガムなどに含まれる人工甘味料は、腸で吸収しづらく、お腹がゆるくなることがあるので、下痢の症状があるときは、摂らないようにしましょう。

 

毎日の腸活習慣で下痢を防ごう

 

 

辛い下痢にならないためには、普段から、腸をいたわる食事や生活を心がける「腸活」を習慣にすることをおすすめします。

 

腸活とは、腸内環境を整えて、腸が持つ本来の力を取り戻すことです。
腸活を習慣にすることで、下痢になりにくくなり、症状の回復も早くなるうえに、免疫力や美容にも良い影響を与えます。

 

~「腸活」5つのポイント~

 

1.水分を十分に摂る

 

水分不足は、便の水分量が減って硬くなり、腸内環境が悪化する原因になります。
1日に必要な水分量の目安は、体重の4%程度とされるので、体重50kgの人なら約2リットルです。
水分は一気に飲まずに、コップ1杯を目安に、1日の中で複数回に分けて飲みましょう。とくに朝起きてすぐに水分をとると、腸が動いて便通が良くなるので、必ず飲みましょう。
温度は冷たすぎるとお腹が冷えて、下痢になりやすいので、常温からぬるま湯程度で。
コーヒーやアルコールは利尿作用があるため、飲み過ぎないように注意して下さい。

 

2.酵素食品を摂る

 

生野菜や生のフルーツ、発酵食品に含まれる「酵素」も腸活に欠かせない存在です。
酵素は、食べたものの消化吸収を助ける働きがあるため、消化不良を改善して腸内環境を整えます。
酵素を豊富に含む「酵素ドリンク」は、胃腸を休めたいときに、固形物をとらずに栄養を補えるメリットがあります。

 

また、発酵食品は、酵素のほかに、乳酸菌やビフィズス菌などを含み、腸内環境のバランスを整えたり、免疫力を高めたりします。
発酵食品には、ヨーグルト、チーズ、みそ、しょうゆ、漬物、納豆などがあります。

 

3.食物繊維をとる

 

食物繊維には、大腸を刺激して腸の動きを活発化し、排便をうながす働きや、腸内環境を整える効果があります。

 

食物繊維は、不溶性と水溶性の2種類があり、両方をバランスよく補うことが大切です。
不溶性食物繊維を多く含む食材は、玄米、小麦胚芽、芽キャベツ、ごぼう、さつまいも、おから、グリーンピースなどが挙げられます。
水溶性食物繊維は、大麦、オートミール、かぼちゃ、切り干し大根、納豆、キウイフルーツなどに豊富です。

 

4.規則正しい食生活を心がける

 

1日3食の規則正しい食生活を心がけて、暴飲暴食や深夜の飲食などは避けましょう。
夜遅くにたくさん食べると、消化不良を起こして、腹痛や下痢の原因になります。
食事のリズムが乱れると、腸の動きも乱れやすくなり、お腹の調子が悪くなります。

 

睡眠をしっかりとって、起きたら太陽の光を浴び、朝食を食べましょう。朝食後にトイレへ行く習慣をつけるのも、腸活に有効です。

 

5.軽い運動をする

 

腸活には、適度な運動習慣も効果的です。
腹筋やスクワット、軽いウォーキングやジョギングなどの運動を、毎日10分から始めてみましょう。運動で体温が上がり、汗をかくことで、自律神経のバランスが整い、腸の健康にもつながります。

 

5つのポイントを押さえた腸活を行うことで、腸内細菌のバランスを良くし、下痢になりにくい丈夫な腸をつくることができます。

 

腸活は、毎日の生活習慣の中で取り入れやすいものから始めてみましょう。

 

まとめ

 

下痢になる原因と、症状を改善する食事のとり方、下痢を防ぐ腸活のポイントについて説明してきましたが、いかがでしたか?

 

下痢になったら、まず水分をとって、胃腸を休めてから、おかゆやよく煮たうどん、やわらかく煮た野菜スープなど、消化のよい食べ物を少しずつ食べましょう。
消化の悪い食べ物や、冷たいもの、刺激の強い食べものは控えて、症状が改善してきたら、徐々に普通の食事に戻して下さい。

 

普段から、腸活習慣で、腸内環境を整えるように心がけておくと、自律神経の乱れを防ぎ、下痢の予防や回復につながります。

 

腸をいたわる食事で、ストレスに負けない元気な腸を目指しましょう。

 

《参考URL》

厚生労働省e-ヘルスネット「過敏性腸症候群(かびんせいちょうしょうこうぐん)」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-079.html

株式会社明治「体質のせいかお腹を下しやすい。下痢になりにくい腸をつくるには」
https://www.meiji.co.jp/karadakaizen/know/entry005.html

とよだクリニック「下痢の時の食事な何を食べる?【お腹の調子が悪い】」
https://www.toyoda-clinic.info/blog/nutrition/diarrhea/

 

 


管理栄養士 山田 由紀子

乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。

体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。

 

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