梅雨は、体調や気分が落ち込むと感じる方が多い時期です。気圧の変化や湿度の高さによって、体内の水分バランスが乱れ、水分や老廃物が体に溜まりやすくなるからです。このため、だるさやむくみ、食欲不振などの不快な症状が起こりやすくなります。
そんな梅雨の不調を改善するためには、「デトックス」がおすすめです。デトックスとは、体内の余分な水分や老廃物を排出して、美容や健康をサポートすることです。
デトックスには色々な方法がありますが、その中でも手軽で効果的なのが「食物繊維」を摂ることです。食物繊維には、腸内環境を改善して便秘やむくみを解消し、免疫力や代謝を活性化する効果があります。また気分を明るくするセロトニンの生成にも関係していることがわかっています。毎日の食事から食物繊維を摂って、梅雨の不調を解消しましょう。
この記事では、デトックスに効果的な食物繊維がたっぷり含まれる食材を5つご紹介します。スーパーで手軽に買えるものばかりです。ぜひ試してみてくださいね。
梅雨と言えば、ジメジメした空気や長雨によって、気分が沈みがちになります。しかし、それだけではなく、体にも影響が出やすい時期なのです。
頭痛やめまい、疲れ、だるさ、不眠、便秘、下痢、むくみ、肌荒れなど、さまざまな症状が起こることがあります。これらは「梅雨の不調」と呼ばれています。
梅雨の不調は、気圧や湿度の変化、紫外線量の減少、気温の低下、雨音や雷鳴のストレスなどが原因です。これらは自律神経やホルモンバランス、代謝などに影響を与えて心身に負担をかけるからです。
では、梅雨の不調を改善するにはどうすればいいでしょうか?ここでは、3つのポイントをおすすめします。
●食事で栄養バランスを整える
●適度な運動で血行を促進する
●リラックスできる趣味や睡眠で心身を癒す
この中でも、特に大切なのが食事です。食事で摂る栄養素は、体調や気分に大きく影響します。 なかでも重要なのが食物繊維です。食物繊維は、梅雨の不調にどう効果を発揮するのでしょうか。
食物繊維は、人間の消化酵素では分解できない植物性の成分で、デトックス効果があります。水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の2種類がありますが、それぞれに違う働きがあります。
水溶性食物繊維は、水に溶けてゲル状になり、腸内で善玉菌のエサになって腸内環境を改善したり、コレステロールや中性脂肪を吸着して排出したりします。これにより、免疫力を強化したり、血流をスムーズにしたりする効果が期待できます。
不溶性食物繊維は、水分を吸収して便の量を増やし、腸壁を刺激して便通を促します。また、便と一緒に毒素や老廃物を排出します。これにより、むくみや肌荒れを予防したり、消化器官の働きを促進したりする効果が期待できます。
さらに、食物繊維は神経伝達物質であるセロトニンの生成に必要なトリプトファンというアミノ酸の吸収を助けます。セロトニンは気分を安定させたり、睡眠を調節したりする働きがあります。梅雨の時期は気分が沈みがちですが、食物繊維でセロトニンを増やして気分を上げましょう。
では、どんな食材に食物繊維が多く含まれているのでしょうか?次に、食物繊維が豊富なおすすめの食材を5つご紹介します。
玄米は栄養価の高い食材です。白米よりも食物繊維が約5倍多く、玄米ごはん100gで1.4g摂れます。食物繊維は、便秘や血糖値対策に良い効果が期待できます。
ビタミンB1やミネラルも多く含み、エネルギー代謝や神経の働きを助け、骨や歯を丈夫にします。
玄米は、ご飯だけでなくお粥やお茶漬けにも使えます。玄米粉でパンやお菓子を作ることもできます。
きくらげは、コリコリした食感を楽しめるきのこです。水溶性と不溶性の両方の食物繊維を多く含んでおり、水戻しして茹でたもの100gで5.2gも摂れます。これは、大人の1日に必要な量(20g)の約4分の1です。食物繊維は、便秘や高血圧の予防に役立ちます。
また、ビタミンDやカルシウム、鉄なども含まれます。
きくらげは、炒め物やスープに入れると美味しく食べられます。ぜひ日々の食事に加えてみてください。
オクラは、ネバネバした食感の野菜です。夏が旬で、水溶性と不溶性の食物繊維が100gあたり5.0gと多く含まれます。これは、大人の1日に必要な量(20g)の4分の1です。
ビタミンCやカリウムも豊富です。サラダや和え物、肉巻きやスープに入れて食べましょう。
キウイフルーツは、食物繊維が多い果物です。水溶性と不溶性の両方があり、100gで2.6g摂れます。
ビタミンCやカリウムも多く含み、美肌や風邪予防、血圧やむくみ対策に役立ちます。
キウイフルーツは、スプーンで食べたり、ヨーグルトやサラダ、ジュースやスムージに入れたりできます。肉料理と合わせると、タンパク質を分解する酵素が消化を助けます。
おからパウダーは、豆乳を絞った後のおからを乾燥させて粉末にしたものです。大豆製品の中でも食物繊維が最も多く、100gで43.6gも摂れます。
ヨーグルトや味噌汁にかけたり、料理やお菓子作りに利用したりすることで手軽に摂取できます。
以上の5つの食材は、食物繊維がたっぷり含まれていて、デトックスに効果的です。
食物繊維は、梅雨の不調解消のほか、便秘や生活習慣病の予防、美容対策にも役立ちます。 ぜひ毎日の食事に取り入れてみてくださいね。
では、食物繊維を上手に摂るためには、どんなコツがあるのでしょうか?次に、水分補給や栄養バランスなど、食物繊維の効果的な摂り方に関する4つのポイントをご紹介します。
梅雨の時期は体調を崩しやすいですが、食物繊維はその対策に役立つ栄養素です。
しかし、食物繊維の摂り方にはコツがあります。間違った摂り方をすると、かえって体に悪影響を及ぼすこともあります。そこで、食物繊維を上手に摂るための4つのコツを覚えておきましょう。
食物繊維は水分と一緒に摂ると、便秘や腸内環境の改善などの効果が高まります。逆に、水分が不足すると、便秘や腸閉塞の原因になったりします。一日に2リットルぐらいの水分を摂るようにしましょう。お茶やスープなども水分に含まれます。
食物繊維は大切ですが、それだけでは不十分です。食物繊維が多すぎると、他の栄養素の吸収を妨げたり、胃腸に負担をかけたりすることもあります。特にカルシウムや鉄などは注意しましょう。
食事は野菜や果物だけでなく、肉や魚、乳製品なども適切に摂りましょう。
また、食物繊維と一緒にビタミンCを摂ると、鉄の吸収が良くなります。
食物繊維は急にたくさん摂ると、胃腸の調子を悪くしたり、下痢やガスなどの副作用が出たりすることがあります。食物繊維を摂る量は徐々に増やしていきましょう。
厚生労働省は一日あたり20~30グラムの食物繊維摂取量を推奨しています。これは野菜300グラムと果物200グラムで達成できます。
以上の4つのコツを実践して、食物繊維を効果的に摂ることで、梅雨の不調を解消しましょう。
この記事では、梅雨の不調に効果的な食物繊維が豊富な食材を5つご紹介しました。
食物繊維はデトックス効果だけでなく、腸内環境や免疫力、血流や気分などにも良い影響を与えます。梅雨の時期は体と心のバランスが崩れやすいものですが、食物繊維で内側からケアすることで、梅雨の不快感を乗り越えましょう。
玄米やきくらげ、オクラやキウイフルーツ、おからパウダーなどは、日常的に手に入りやすく使いやすい食材です。ぜひ毎日の食事に取り入れてみてくださいね。ただし、食物繊維は摂り過ぎると逆効果になることもあります。水分補給や栄養バランス、摂取量の調節などに気を付けてください。
梅雨のジメジメや長雨に負けずに、食物繊維でデトックスして心身ともにスッキリしましょう。健康で快適な夏を迎えるために、今から食物繊維を意識してみてはいかがでしょうか。
《参考書籍》
日本食品標準成分表2020年版(八訂)
《参考URL》
厚生労働省「日本人の食事摂取基準」(2020年版)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/eiyou/syokuji_kijyun.html
厚生労働省e-ヘルスネット「食物繊維の必要性と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
管理栄養士 山田 由紀子
乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。
体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。