夏は楽しみがたくさんありますが、紫外線対策はしっかりしていますか?
日焼け止めや帽子、日傘などで防いでも、肌が焼けてしまったり、シミやシワが目立ったりしませんか?それは、外側からのケアだけでは足りないからかもしれません。実は、内側からも肌と体を守る必要があるのです。
紫外線は肌だけでなく、体全体にダメージを与えます。肌の老化やシミ、シワ、乾燥といった肌トラブルの原因になるだけでなく、目や内臓などの器官の機能も低下させます。
紫外線やストレスなどによって活性酸素が増えると、これらのトラブルが起こります。
紫外線から身を守る方法のひとつに、「酵素」を摂ることがあります。
酵素は体内でさまざまな働きをする物質で、肌にも良い影響を与えます。例えば、活性酸素を除去する抗酸化作用や、肌の新陳代謝やコラーゲン生成を促す作用があります。
さらに、消化や代謝に関わる酵素は、栄養素の吸収やエネルギーの生成にも必要です。
酵素を摂ることで、紫外線ダメージから肌と体を守ることはもちろん、美容や健康にも貢献します。
この記事では、酵素が夏の紫外線対策にどう役立つのかと、酵素を効果的に摂るコツをご紹介します。酵素が含まれる食べ物や、酵素を摂るタイミングなど、詳しく解説します。ぜひ参考にしてみてください。
酵素とは、体内でさまざまな化学反応を促進するタンパク質のことです。酵素は消化や代謝などに必要なだけでなく、肌の状態も改善します。
消化酵素、抗酸化酵素、洗浄酵素の3つは美肌づくりに役立つことが知られています。それぞれの効果や含まれる食品をみていきましょう。
消化酵素は、食べ物を分解して吸収しやすくする酵素です。さらに、消化酵素は、消化された栄養素を代謝酵素の材料にして、体のさまざまな働きをサポートします。代謝酵素は、肌のターンオーバーや老廃物の排出などにも必要です。
消化酵素が足りないと、代謝酵素も作られにくくなり、肌トラブルの原因になります。
消化酵素を補うことで、代謝を高めたり肌の健康を保ったりすることができます。
消化酵素を補うには、生の野菜や果物、発酵食品などに多く含まれる食物酵素を摂ることが大切です。野菜や果物には、ビタミンCやカロテノイドなどの抗酸化成分も豊富です。発酵食品には乳酸菌やビタミンB群などが含まれています。
消化酵素は、健康に役立つ成分も多く含む食品から摂れます。
抗酸化酵素は、体内で作られる物質で、活性酸素から細胞を守ります。活性酸素は、DNAやタンパク質、脂質などの細胞内成分を酸化させてダメージを与えます。その結果、細胞の機能が低下したり、変異したりします。これにより、肌のシワやシミ、たるみなどの老化現象や生活習慣病のリスクも高まります。
抗酸化酵素は、加齢やストレスで減ってしまうので、美肌のためには、食べ物や生活習慣で補う必要があります。
抗酸化酵素は、タンパク質でできているので、タンパク質が不足すると減少します。タンパク質は肉や卵、魚介類、乳製品、大豆製品などに多く含まれています。
また、抗酸化酵素には金属補因子と呼ばれる物質が必要です。その中でも亜鉛はスーパーオキシドディスムターゼ(SOD)という重要な抗酸化酵素を作るために必要なものの一つです。亜鉛は牡蠣やレバー、赤身肉、チーズなどに多く含まれています。
抗酸化酵素を効果的に働かせるには、運動や睡眠などの生活習慣も関係します。
運動は体の中の血液の流れを良くして、細胞に栄養や酸素を届けやすくします。睡眠は体内時計が整えてホルモンや代謝が調整されます。運動や睡眠はストレスも減らしてくれます。
洗浄酵素は、皮脂汚れや角質汚れを分解して落とす酵素です。洗浄酵素が含まれるパパイヤやパイナップルなどの果物は、タンパク質を分解する力があり、肌の古い角質や毛穴の汚れに働きかけます。また、炎症を抑えることで肌の表面に受けた紫外線ダメージを修復します。
洗浄酵素の効果により、肌が明るくなり、くすみが解消されたり、毛穴の詰まりがなくなり、ニキビを防いだりします。
夏の紫外線対策として、酵素を含む食べ物や、酵素を作る食べ物を食べたり、スキンケアに利用したりすることで、肌の健康はもちろん、全身の健康にも良い影響を与えます。
酵素は、肌の健康に欠かせない成分です。酵素が不足すると、肌のターンオーバーが乱れたり、シミやシワが増えたりする可能性があります。そこで、美肌を目指すために、酵素をどのように摂取したり、スキンケアにとり入れたりすればいいのでしょうか?
次に、酵素を効果的に摂る方法や、スキンケアでの活用法についてご紹介します。
「食物酵素」は、食品に含まれる酵素で、体内酵素の働きをサポートします。食物酵素にはさまざまな種類がありますが、生の野菜や果物、発酵食品に多く含まれています。これらの食品を毎日摂ることで、体内酵素を補うことができます。
食物酵素は、加熱や保存によって失われやすいので、新鮮なものを生の状態で食べることがポイントです。サラダやスムージーなどで摂ると良いでしょう。また、すりおろしたり、ジュースにしたりすること、酵素の働きが高まります。
いろいろな種類の野菜や果物をバランスよく摂るようにすれば、多様な食物酵素をとり入れられます。
発酵食品は、微生物が作り出す食物酵素が豊富です。発酵食品には、味噌や納豆、ぬか漬けやキムチなどがあり、腸内環境を整える効果が期待できます。腸内環境が良くなると、肌荒れやニキビなどのトラブルも減ります。
発酵食品は一日に一品以上摂ることを目標にするといいでしょう。特に、乳酸菌が含まれるヨーグルトやチーズは肌に良いと言われています。
「抗酸化酵素」は、活性酸素などの有害物質を除去する酵素で、肌老化を防ぐ効果があります。抗酸化酵素はタンパク質から作られるため、抗酸化力を高めるためには十分に摂ることが必要です。
動物性タンパク質は肉や卵、乳製品などに多く含まれますが、脂質も多くなりがちなので、食べすぎには注意してください。過剰な脂質は活性酸素の生成をうながしたり、血管や内臓に負担をかけたりする可能性があります。
植物性タンパク質は大豆製品や穀物などに多く含まれますが、必須アミノ酸のバランスが悪いため動物性タンパク質と組み合わせて摂ることがおすすめです。必須アミノ酸とは、体内で作り出せないため食事から摂らなければならないアミノ酸のことで、抗酸化酵素の合成にも必要です。
例えば、豆腐や納豆などの大豆製品と牛乳やチーズなどの乳製品を一緒に食べると、必須アミノ酸のバランスが良くなります。豆腐グラタンや厚揚げチーズ焼きなどはいかがでしょうか?バランスの良い食事で抗酸化力を高めましょう。
「洗浄酵素」は、皮脂や角質などの汚れを分解する酵素です。洗浄酵素は毛穴の汚れを取り除き、乾燥肌を改善する効果があり、紫外線ダメージを受けた肌のケアにも役立ちます。
洗顔料やパック、化粧水などに洗浄酵素が配合された市販品がありますが、自宅でも簡単に作ってスキンケアを行えます。
作り方は、パパイヤやパイナップルの果肉をすりおろし、蜂蜜やヨーグルトと混ぜてペースト状にします。洗顔後、顔全体に塗って10分ほど置き、ぬるま湯で洗い流します。パック後は保湿クリームや美容液などでしっかり保湿してください。
パパイヤやパイナップルに含まれる「パパイン」や「ブロメライン」という酵素が洗浄酵素として働きます。これらの酵素は、角質除去や毛穴ケアに効果的です。ただし、肌に合わない場合はすぐに使用を中止してください。
この記事では、肌に良い酵素の効果や摂り方、スキンケアの方法について、夏の紫外線対策としてご紹介しました。
夏は紫外線が強く肌へのダメージが大きい季節です。紫外線対策としては、日焼け止めや帽子などの外的な対策だけでなく、体の中からも肌を守ることが大切です。そのために必要なのが「酵素」です。
酵素は、活性酸素を除去する抗酸化作用や、新陳代謝を促し肌の水分や弾力を高める効果などがあります。酵素は内側からも外側からも肌を守ります。また、美容や健康にも多くのメリットがあります。
酵素は、食事やスキンケアで効果的に摂ることができます。酵素を上手に活用して、
夏の紫外線に負けない美肌を目指しましょう。
《参考URL》
国際幹細胞普及機構「SOD(スーパーオキシドディスムターゼ)とは?幹細胞との関係は」
https://stemcells.or.jp/sod/
長寿科学振興財団 健康長寿ネット「酵素の働きと健康効果」
https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/eiyouso/koso-kenko.html.
管理栄養士 山田 由紀子
乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。
体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。