冬は寒さで代謝が低下しやすく、腸の働きも悪くなりがちです。その結果、腸内細菌のバランスが乱れ、便秘や下痢、肌荒れ、風邪などのトラブルを引き起こす可能性があります。
しかし、冬こそ腸活を行い、全身の健康を向上させるチャンスです。
腸活とは、腸内細菌のバランスを整えて、腸の働きを改善することです。腸活をすると、便通が良くなり、肌荒れが改善され、ダイエットの効果も期待できます。
さらに、腸内細菌は免疫細胞の約7割を作ると言われており、腸活によって、免疫力が高まると、風邪やインフルエンザの予防にもつながります。
この記事では、冬の腸活におすすめの食材を7つご紹介します。各食材の効果や冬のメリット、おすすめの食べ方などを解説していきますので、ぜひ参考にしてください。
発酵食品の代表格である納豆は、腸の健康をサポートする優れた食品です。
納豆に含まれる納豆菌は、胃酸や消化液にも負けず、生きたまま腸に届き、腸内環境を整えてくれます。さらに、納豆には植物性タンパク質や食物繊維など大豆由来の栄養素が豊富です。これらは、腸内細菌のエサとなって、善玉菌の活動をサポートします。
納豆にはビタミンB群が多く含まれています。ビタミンB群は、糖質や脂質の代謝を助け、エネルギーを作り出す働きがあります。これらは、冬の寒さに負けない体づくりに必要な栄養素です。
また、納豆に含まれるビタミンKは、骨の形成を調整する働きがあり、カルシウムの吸収を促進します。冬は日照時間が短く、ビタミンDの生成が低下するため、骨粗しょう症のリスクが高くなります。納豆を食べることで、骨の健康を維持することができます。
納豆は、そのまま食べるだけでなく、様々な食材と組み合わせることで、味や栄養価が向上します。
例えば、納豆とオリーブオイルを混ぜると、オリーブオイルのオレイン酸が腸の動きを促し、便秘の解消に効果的です。また、酢と混ぜると、酢のグルコン酸が腸内細菌のバランスを改善する効果があります。オリーブオイルと酢は、納豆の独特の臭いを和らげる効果もあるので、苦手な方にもおすすめです。
ヨーグルトは、乳酸菌やビフィズス菌などの善玉菌が豊富な発酵食品です。善玉菌は、腸内で悪玉菌の働きを抑え、腸内環境を整える効果があります。
また、ヨーグルトには乳酸菌のエサとなる乳糖や、骨や歯の健康に必要なカルシウム、エネルギー代謝に関わるビタミンB群などの栄養素も含まれています。
ヨーグルトを食べると、免疫力を高める効果が期待できます。乳酸菌やビフィズス菌は、腸内で免疫細胞を活性化し、感染症に対する防御力を強化します。
さらに、ヨーグルトに含まれるビタミンB群は、ストレスによる免疫力の低下を予防する効果があります。冬はインフルエンザや風邪などの感染症が多くなるので、ヨーグルトを食べることで予防に役立ちます。
ヨーグルトは、フルーツやハチミツをトッピングするのがおすすめです。フルーツはビタミンや食物繊維が豊富で、ハチミツは乳酸菌のエサになるオリゴ糖が含まれています。これらをヨーグルトに加えると、腸内環境を整える効果が向上します。
また、食後に食べると、胃酸が薄まって乳酸菌が生きたまま腸まで届きやすくなります。
ヨーグルトは、毎日継続的に摂取することで、腸活に効果的です。
甘酒は、米や米麹に水を加えて発酵させた飲み物で、日本の伝統的な発酵食品です。
甘酒には、乳酸菌や酵母などの有用な微生物が含まれており、腸内環境を改善する効果があります。腸内環境が整うと、肌の調子や便通、免疫力などにも良い影響を与えます。
甘酒は、体を温めるだけでなく、風邪予防にも役立ちます。甘酒にはビタミンB群やミネラルなどの栄養素が多く含まれており、冬の乾燥や疲労による免疫力の低下を予防する効果があります。
甘酒は、おろし生姜を加えて温めて飲むのがおすすめです。生姜には体を温める効果があります。また、牛乳や炭酸などを加えてアレンジするのもいいでしょう。牛乳はカルシウムやタンパク質が豊富で、炭酸は甘酒の甘さをさっぱりとさせます。
甘酒は、料理やお菓子にも使えます。砂糖の代わりに甘酒を使うと、自然な甘みとしっとり感が出ます。おしるこやおはぎ、パウンドケーキなどに甘酒を使うと、風味や栄養がアップします。
キャベツは、食物繊維が豊富な野菜で、腸の動きをスムーズにし、便秘の予防や改善に役立ちます。また、キャベツにはビタミンCやカロテンなどの抗酸化物質が多く含まれており、免疫力を高めたり、老化を防いだりする効果があります。
冬キャベツは、甘みが強く、シャキシャキとした食感が楽しめます。また、冬キャベツには、風邪の予防や胃の保護に役立つビタミンCやビタミンUなどの栄養素が豊富に含まれています。
キャベツは、生のまま千切りやサラダにすると、ビタミンCやカリウムなどの水溶性の栄養素を効率的に摂ることができます。また、みそ汁やスープなどに加えると、柔らかくなって、消化が良くなり、体を温める効果もあります。これらの料理に、肉や魚、豆腐などのタンパク質を合わせると、栄養バランスが良くなります。
シイタケは、日本の伝統的なキノコで、歯ごたえのある食感が魅力です。
シイタケには、水溶性食物繊維の一種であるβ-グルカンが豊富に含まれています。β-グルカンは、善玉菌のエサとなり、腸内環境を改善する効果があります。
また、シイタケにはビタミンDも多く含まれています。ビタミンDは、カルシウムの吸収を促進し、骨や歯の健康に必要な栄養素です。
シイタケに豊富な食物繊維は、便通を改善し、腸内環境を整える効果があります。冬は寒さや乾燥で便秘になりやすいので、シイタケを食べることで予防や解消に役立ちます。
また、シイタケからビタミンDを摂ることで、冬のビタミンD不足を防ぎ、骨の健康を守ります。
生シイタケを天日干しすると、紫外線によってビタミンDが増加します。30分ほど日の当たる場所に置いてから、料理に使うのがおすすめです。
シイタケは、炒め物や揚げ物にすると、栄養の吸収が高まり、香りや食感も楽しめます。
ごぼうは食物繊維が豊富な野菜で、腸内環境を整える効果があります。水溶性食物繊維は便の水分量を調節し、便秘や下痢を予防します。不溶性食物繊維は腸の動きを促進し、便の排出をスムーズにします。また、ごぼうに含まれるフラクトオリゴ糖は、善玉菌のエサになり、腸内環境のバランスを改善します。
ごぼうには、水溶性と不溶性の2種類の食物繊維がバランスよく含まれているので、腸活に効果的です。また、冬に収穫されるごぼうは、栄養価も高く、カリウムや鉄、ビタミンB群などのミネラルやビタミンが豊富に含まれます。そのため、冬の疲労回復や風邪予防にも役立ちます。
ごぼうは皮にも栄養が多いので、できるだけ皮を残して食べるのがおすすめです。皮をむかない場合は、包丁の背やアルミホイルなどで軽くこすって、泥を落とします。
ごぼうは、ささがきや千切りにすると、食感や風味が楽しめます。きんぴらや唐揚げ、サラダなどにするとおいしいです。
アボカドは、食物繊維とオレイン酸などの不飽和脂肪酸が豊富な果物です。食物繊維は便通を改善し、オレイン酸は悪玉コレステロールを減らします。
また、アボカドに含まれるビタミンEやカロテンなどの抗酸化物質は、老化予防や美肌効果をもたらします。さらに、アミノ酸のトリプトファンがセロトニンという神経伝達物質の原料になります。セロトニンは、気分を安定させたり、ストレスを軽減したりする効果があります。
アボカドは冬に食べると美容や健康に良いです。アボカドにはビタミンEやカリウムが豊富に含まれています。ビタミンEは抗酸化作用があり、肌や血管の老化を防ぎます。冬は乾燥や寒さで肌や血管にダメージを受けやすいので、ビタミンEは欠かせません。
カリウムは、高血圧やむくみを改善します。冬は塩分のとり過ぎや運動不足で血液の流れが悪くなりやすく、カリウムが不足しがちです。
アボカドはそのまま食べてもおいしいですが、他の食材と組み合わせると、栄養価や味わいがさらにアップします。
例えば、アボカドと発酵食品を一緒に食べると、腸内細菌の増殖を促進します。発酵食品には、善玉菌が含まれており、腸内環境を整えて免疫力を高めます。アボカドには、食物繊維も多いので、腸の動きを促す効果も高めます。このように、アボカドと発酵食品は相性が良く、冬には特におすすめです。
冬は寒さや乾燥で体の抵抗力が低下しやすくなります。そこで、腸活をして腸内環境を整えることが大切です。腸内環境が良くなると、免疫力や美肌効果はもちろん、体温調節や代謝も改善されます。
腸活におすすめなのは、納豆やヨーグルト、甘酒などの発酵食品です。これらは腸内細菌のバランスを良くして免疫力を高めます、また、キャベツやシイタケ、ゴボウ、アボカドなどの食物繊維が豊富な食べ物も腸活に効果的です。食物繊維は便通を改善し、腸の動きを促します。これらの食べ物をバランスよく摂って、冬の健康美人を目指しましょう。
《参考書籍》
「決定版 腸活×菌活レシピ100」藤田絋一郎監修 徳間書店発行
〜1日大さじ1杯で腸まで届く 〜腸美人を目指すあなたへ。無添加酵素ドリンク「MOEGI(もえぎ)」
管理栄養士 山田 由紀子
乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。
体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。