腸内環境が夏バテ解消のカギ!プロバイオティクスの効果と摂り方

 

 

夏は暑さや疲労、栄養不足などによって、体調を崩しやすい季節です。だるさや倦怠感、食欲不振などの症状があれば、それは夏バテかもしれません。夏バテは免疫力や代謝を低下させてしまうため、放っておくと感染症やアレルギーなどのリスクが高まります。

 

夏バテを防ぐには、腸内環境を整えることが大切です。腸内環境は、腸に住む約100兆個の微生物が作り出す環境で、人の健康に大きな影響を与えます。腸内細菌は、消化や吸収だけでなく、免疫力や代謝にも関わりますが、暑さやストレスなどでバランスが崩れると夏バテの原因になります。

 

そこでおすすめなのが、「プロバイオティクス」を摂ることです。プロバイオティクスとは、生きた状態で腸に到達する有益な微生物のことで、腸内細菌のバランスを整えます。
プロバイオティクスは、ヨーグルトや発酵飲料のほか、サプリメントなどにも含まれています。

 

この記事では、プロバイオティクスの効果や摂り方について詳しくご紹介します。
夏バテで体調が悪くならないように、毎日プロバイオティクスを摂って腸内環境を整えましょう。

 

プロバイオティクスと腸内環境の関係

 

 

私たちの腸内には、さまざまな細菌が存在します。その中には、健康に良い影響を与える善玉菌と、逆に悪い影響を与える悪玉菌があります。また、腸内の状況に応じて善玉菌や悪玉菌と同じ働きをする日和見菌もいます。

 

これらの腸内細菌は、消化や免疫力、ビタミンやアミノ酸の生成などに大きく関わっています。しかし、悪玉菌が増え過ぎると、腸のトラブルや感染症、アレルギーなどの問題を引き起こす可能性があります。そのため、腸内細菌のバランスを整えることが重要です。

 

そこで、必要になるのが、プロバイオティクスです。プロバイオティクスとは、腸内に存在する善玉菌と同じか類似した生きた微生物であり、腸内細菌のバランスを良くするものです。プロバイオティクスは、自分自身が増えたり、他の善玉菌を増やしたりして、善玉菌の割合を高めます。
また、悪玉菌や有害な細菌と争ったり、殺菌力や酸度を高めたりして、悪玉菌や有害な細菌の割合を低くします。

 

プロバイオティクスによって腸内環境が改善されると、体にいいことがたくさんあります。

 

・栄養がしっかり摂れるようになります。
・便秘や下痢などの腸のトラブルが改善されます。
・免疫力に良い影響を与えて、暑さや細菌などに負けなくなります。
・アレルギーや炎症が抑えられて、肌や鼻の調子の改善が期待できます。
・ストレスや気分の落ち込みなどを和らげて、気分が明るく元気になります。

 

これらの効果は、プロバイオティクスが腸内細菌と相互作用して、腸内環境を改善することによって得られます。

 

プロバイオティクスが夏バテ予防に効果的な理由

 

 

プロバイオティクスとは、腸内細菌の中で有益なものを増やし、有害なものを減らすことで、健康に良い影響を与えるものです。プロバイオティクスが、夏バテ予防に効果的な理由は2つあります。

 

1.腸内環境を整えて夏の胃腸トラブルを防ぐ

 

夏は、高温多湿な環境や冷たい飲食物の摂りすぎによって、胃腸の働きが低下し、消化不良や便秘などの不調が起こりやすくなります。
プロバイオティクスは、腸内細菌のバランスを整えることで、胃腸のトラブルを防ぎます。

 

プロバイオティクスの一種である乳酸菌やビフィズス菌などは、有害な細菌や毒素を排除したり、消化酵素を分泌したり、栄養素の吸収を促進したりします。これによって、胃腸の機能が改善され、便通も良くなります。

 

2.免疫力や代謝を高めてエネルギー不足やストレスを解消する

 

暑さによって体力が消耗し、熱帯夜や冷房による睡眠不足で疲労がたまります。
また、汗をかくことで水分やミネラルが失われ、栄養不足になります。その結果、免疫力や代謝が低下し、だるさや倦怠感を感じやすくなります。

 

プロバイオティクスは、腸内細菌と相互作用して、体全体に影響を与える物質を作ったり変化させたりします。これらの物質は、免疫力や代謝を高める効果があります。
例えば、プロバイオティクスはビタミンやミネラルなどの必須栄養素を生成します。このような栄養素は、暑さや睡眠不足で失われた水分やミネラルを補うことができます。

 

また、プロバイオティクスは脂肪や糖などのエネルギー源を効率的に利用します。エネルギー源の利用が向上すると、体力が消耗した時にエネルギー不足を解消することができます。

 

さらに、プロバイオティクスはセロトニンやドーパミンなどの幸せホルモンを増やします。幸せホルモンの増加は、ストレスや疲労からくる倦怠感を緩和することができます。

 

プロバイオティクスの正しい摂り方と注意点

 

プロバイオティクスは、腸内環境を整えることで、免疫力や代謝を高めて、熱中症や体力低下に負けない体を作ることができます。しかし、プロバイオティクスを摂るだけでは効果が十分に得られない場合もあります。
プロバイオティクスの効果をしっかり感じるためには、正しい摂り方と注意点があります。

 

【効果的な摂り方】

 

 

プロバイオティクスは、ヨーグルトやチーズ、納豆や漬物などの発酵食品に含まれています。また、サプリメントとしても市販されていますが、食品から摂取するほうが自然で安全だと言われています。サプリメントは品質や保存方法によって効果が変わったり、副作用が出たりする可能性があるからです。

 

プロバイオティクスの摂り方で知っておくと役立つ4つのポイントがあります。これらを覚えておけば、プロバイオティクスをより効果的に摂取できます。

 

1.摂取するタイミング

 

プロバイオティクスを摂るタイミングは、胃酸が少なく腸に届きやすい朝食前が最適です。食後や食事中に摂ると、胃酸によってプロバイオティクスが分解されてしまう可能性があります。食事と一緒に摂る場合は、食物繊維や乳製品などと組み合わせるといいでしょう。

 

2.摂取する量
プロバイオティクスの摂取量は一概に決められませんが、一般的には1日あたり10億個以上を摂ることが推奨されます。製品によって含まれる菌株や菌数が異なるので、ヨーグルトやサプリメントなどは、商品ラベルを確認してください。摂りすぎると副作用が出る場合もあるので、注意しましょう。

 

3.摂取する種類

プロバイオティクスには様々な種類がありますが、すべてが同じ効果を持つわけではありません。自分の目的や体質に合ったものを選ぶことが大切です。例えば、乳酸菌は免疫力やアレルギーの改善に、ビフィズス菌は便秘や肥満の予防に有効だと言われています。 また、生きたまま腸に届くことが重要なので、品質や保存方法にも気をつけましょう。

 

4.一緒に摂るもの

 

 

プロバイオティクスのエサとなるオリゴ糖や食物繊維を一緒に摂るようにしましょう。
これらは「プレバイオティクス」と呼ばれ、プロバイオティクスの増殖や活性化を促します。オリゴ糖や食物繊維は、玉ねぎやニンジン、キャベツなどの野菜や果物、海藻類やきのこ類などに多く含まれています。

 

【注意点】

 

発酵食品からプロバイオティクスを摂る場合は、以下の点に気をつけてください。

 

・生きた状態で腸に到達するように、加熱しないで食べる

・殺菌されていないものを選ぶ

・保存料や添加物が少ないものを選ぶ

・糖分や塩分が多すぎないものを選ぶ

・種類や量をバランスよく摂る

 

発酵食品は、消化や吸収を助けたり、栄養価を高めたり、風味や香りを豊かにしたりする効果があります。プロバイオティクスだけでなく、ビタミンやミネラル、アミノ酸やポリフェノールなどの有用成分も含んでいます。夏バテ予防はもちろん、美容や健康にも良い影響を与えます。

 

発酵食品のおすすめはヨーグルト

 

 

発酵食品の中でも特におすすめなのは、ヨーグルトです。
ヨーグルトには、ビフィズス菌やラクトバチルス菌などのプロバイオティクスが豊富に含まれています。また、カルシウムやタンパク質などの栄養素も多く含んでいます。ヨーグルトは、朝食や間食として簡単に食べられるのも利点です。

 

ヨーグルトを選ぶときは、生きたまま腸に届く乳酸菌が入っていて、無糖や低糖のものを選びましょう。また、果物やナッツなどのトッピングで味や栄養をプラスするとより良いです。1日に200g程度を目安に食べるようにしてください。

 

まとめ

 

この記事では、プロバイオティクスの効果や摂取方法について説明しました。

 

プロバイオティクスを摂るときには、摂取するタイミングや量、種類、一緒に摂るものなどに注意してくださいね。特に朝食前に生きた乳酸菌が入った無糖のヨーグルトを食べることがおすすめです。

 

プロバイオティクスは夏バテ予防の一つの手段ですが、それだけでは十分ではありません。水分や塩分の補給や適度な運動も忘れずに行いましょう。また、しっかりと睡眠や休息をとることも大切です。
プロバイオティクスで腸内環境を整えて、夏の楽しみを満喫しましょう!

 

《参考URL》

厚生労働省 e-ヘルスネット「腸内細菌と健康」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html

一般社団法人全国発酵乳乳酸菌飲料協会「プロバイオティクスとは」
https://www.nyusankin.or.jp/lactic/probiotics/

 

 


管理栄養士 山田 由紀子

乳幼児からご高齢者まで延べ1000人以上の栄養指導・食事相談を10年以上実践。
食情報の専門家として、栄養・料理・健康にかかわる記事の執筆、監修、レシピ作成等を行うほか、健康料理教室、味噌づくり教室、梅仕事の会を主催。

体質改善ではじめた発酵食づくりに魅了され、味噌、甘酒、塩麹、豆乳ヨーグルト、ぬか漬け、天然酵母パンなどを自宅で作り、「腸から元気になる食事」の研究に邁進中。

 

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